IPOベンチャー今昔物語 -2ページ目

IPOマーケットを取り巻く反社会勢力の罠 1

それは、ベンチャーキャピタルとか、ベンチャービジネスという言葉がまだまだ一般的でなかった時代です。


私は証券会社の営業から系列のベンチャーキャピタル会社に出向して間もないときでした。


毎日、色々な新聞や専門誌に目を通し面白いベンチャー企業はないかと探したり、帝国年鑑という辞書を巨大化したような本をめくって面白そうな企業探したりしていました。

因みに帝国年鑑と言うのは帝国データバンクが作っている企業のデータベース年鑑です。


その帝国年鑑の千葉県のページの中に私の目を引く企業がありました。

株式会社メディカルイクイップメント(仮名)という医療機器の卸で、年商24億円、経常利益175百万円という業績が私の目に止まりました。


私は後でコピーが取れるように、そのページに付箋を張ると更にページを繰っていきました。

数枚のコピー紙を机に並べ、会社の内容をチェックしていました。

メディカルイクイップメントは資本金が50百万円、従業員45名、独立系、仕入れは大手医療機器メーカー、売り先は病院が中心。

社長の名前は島村高志、年齢45歳。会社の所在地は千葉県稲毛区。

私は目の前のビジネスフォンに手を伸ばし、コピーに書かれた電話番号をダイヤルしました。

「お電話ありがとうございます。メディカルイクイップメントです。」と受付の若い女性の声が受話器から聞こえてきました。


電話対応も良い会社を見抜く上で重要です。社員教育がしっかり出来ている会社は電話対応もしっかりしています。


島村社長への取次をお願いすると「現在外出をしておりまして、宜しければご用件を受け賜りますが。」と返事が返ってきた。私は簡単に用件を伝え、再度電話をかけますと残して電話を切りました。

IPOマーケットを取り巻く反社会勢力の罠

今、ライブドアの問題が資本市場に大きな影響を与えています。

株式交換を利用したM&Aに投資事業組合を挟むことで、虚偽の開示を行ったり、粉飾決算をした疑いです。

 

また、この裏側に反社会勢力の影や、香港にいる日本人金融ブローカーが裏で糸を引いているいう噂まであります。

 

ライブドアの一件について私見を語るのはこのブログの趣旨に合わないことですので控えますが、以前私が駆け出しベンチャーキャピタリストだった頃経験した、反社会勢力に弄ばれ、消えていったベンチャービジネスのお話を何回かに分けてお話していきたいと思います。

友人の死

友人が亡くなりました。


証券会社の同期で一緒に仕事もしました。

その後、二人とも何度か転職をして、また仕事の場で再会しました。

彼はどんどん成功して偉くなっていました。
元々はまじめで謙虚な人でした。
再会したときは少し足元が見えなくなっているような気がしました。

でもあんな死に方をする必要があったんだろうか。

本当に大切なことは何か、絶対に見失わずに生きていきたい。
また、周りの人にも見失わせたくない。

38年間の短い人生、彼はどんな思いを胸に抱いていたんだろう。


つい数ヶ月前も、会社にお邪魔してガラス張りのミーティングルームで同窓会みたいな馬鹿話をしました。


嘘みたいです・・・。

どんなことがあったかは分からないけれど・・・ゆくっり休んでください。


心からご冥福を祈ります。


これを機会にブログを再開しようと思います。


僕なりに出来ることをする為に・・・。

「MSCBって何?~第3回~」


さて今回はその転換社債型新株予約権付社債の発行条件のポイントを見てみま
す。

では、そのポイントを挙げてみましょう。

1.転換価額の修正頻度
2.転換価額修正の際の修正日終値からのダウン率
3.オーナーの持ち株を貸し株要求があるか。

1番については、極端な話、毎日でも修正をかける事が出来ます。実例として
はサンライズテクノロジー(旧プライムシステム)がそうです。
MSCB乱発し、株価が1円になったことで有名です。

2番、修正日終値からのダウン率は最近の銘柄では90%近くにまでなっていま
す。
これだけでも引受手は有利ですよね。この比率が低ければ低いだけ、引受手に
メリットがあり、既存株主にとっては「ふざけるな」という話になるわけで
す。

3番は開示されることはないので、当事者しか分かりませんが、引受手が、発
行会社のオーナーの持ち株を事前に借りる契約を同時に結ぶのです。
これが曲者で、引受手は転換社債型新株予約権付社債の転換の前にこの借りた
株を売る
ことが出来るわけです。

これを使えば、引受手のリスクはかなりヘッジされます。
そして、当然そのしわ寄せは既存株主に向かうわけです。

それこそ、株をどんどん売って、株価を下げることで転換価額の修正額を引き
下げて、下がったところで一気に転換すれば…。
ということが出来るわけです。

株道

「MSCBって何?~第2回~」


さて、「MSCB」に話を戻しましょう。「MSCB」の特徴は前段の転換価額修正
条項
が付いていることです。
ある一定の期間でこの転換価額が修正されるのですが、そのルールが問題なの
です。

良くあるのが修正の期日の終値に一定の比率をかけるというものです。
その比率が95%であると、市場価格より5%安く株に転換できるということで
す。
元々引受手に有利なのに更に有利になります。
また、転換価額の修正の周期が短ければ短いほど、引受手は有利です。

この転換社債型新株予約権付社債の発行は通常、海外発行で私募で行われるこ
とが多く、最近の傾向では引受先は機関投資家単独、若しくは数社になりま
す。
リーマンブラザーズ証券はこれを単独買い入れ転換社債と呼んでいるようで
す。


このタイプの転換社債は昨年年間3,600億円発行されています。

私はこのタイプの転換社債型新株予約権付社債を全て否定はしません。
上手く使えば有効な資金調達手段です。
ただ、中にはとんでもない条件のものあります。

条件の悪い社債を出しているということは、それだけ経営状態が悪いというこ
とだと思われます。

では次回はその転換社債型新株予約権付社債の発行条件のポイントを見てみま
す。(続く・・・)



株道

「MSCBって何?~第1回~」

さて皆さん、ライブドア対フジテレビジョンの戦いが連日、メディアを賑あわせてい
ますよね?

その中で、、リーマンブラザーズ証券がライブドアが発行した「MSCB」を800億円引き
受けたことが一部で非常に話題になっています。

さて、この話題の、「MSCB」って何でしょう?
「MSCB」はMovig Strike Covertible Bondの略で、作られた俗称です。
正確には「転換社債型新株予約権付社債」の一つの形態です。
「転換社債型新株予約権付社債」とは昔で言うところ転換社債です。
社債にその社債額面金額分の、株式に転換できる権利を付与したものです。
社債を株式に転換する際の株価というのを事前に決めておくのですが、これを転換価
額といいます。

例えば1000万円の転換社債型新株予約権付き社債を発行したとします。
このとき転換価額が10万円であれば1000万円÷10万円=100株となり、転換すると
1000万円の社債が100株の株式に変わります。

この転換のオプションは社債を引受手にあるので、社債を引き受けた投資家は、会社
の株価が10万円以上のとき、若しくは10万円以上になると判断したときに転換請求を
するわけです。
そうすると、株価の上昇益が得られます。

反対に株価が下がってしまったときは、そのまま償還期限まで保有すれば、リスク
ありません。(もちろん発行会社のデフォルトリスクはありますが)

投資家にとっては非常に都合の良い商品といえます。

会社としても、株価が転換価額を上回れば、株式に転換され、自己資本となるので、こ
れも都合が良いわけです。(続く・・・。)


株道

「アルチザネットワークス」

私がアルチザネットワークスの床次社長とお会いしたのはまだ、社名がエイブルコミ
ュニケーションズという社名でした。
本社は現在と同じく立川市にあり、PHSの通信プロトコルの検査をする会社でした。

ベンチャーキャピタルの中でも技術力、業績とも折り紙つきの評価の高い会社でし
た。
技術系の社長でしたが、しっかりした方でした。社長を取り巻く人材も地味ながらし
っかりした方達でした。
上場前の最終ファイナンスも高い株価で成功し、株式公開を目の前に順風満帆でした。

しかし、皆さんもご存知、PHS対携帯電話の戦いで軍配が携帯電話に上がりました。
アルチザネットワークスの業績はその影響を大きく受けました。株式公開も延期にな
りました。
どんな良い会社であっても、急激なマーケットの変化があったとき、かなりの影響を
受けるものです。
中には倒産に追い込まれ会社も多くあります。

特に通信業界では、今日、デファクトスタンダードだった技術が明日には別の技術に取
って代わられるということは良くある事です。
ベンチャー企業はそれこそ体力も無い訳ですから、ひとたまりも無く消えていった会
社もたくさんありました。

しかし、アルチザネットワークスは、IMT-2000に対応し、CDMAにおける通信プロトコ
ルの検査へ事業の主軸を変更し、見事に復活し、株式公開にこぎつけました。
その後、VoIPの通信テスト等も手がけています。

アルチザネットワークスが危機を乗り越えたのには幾つもの要因が考えられます。
資金調達が既に完了して財務体質が強固であったこと、マーケットに大きな変化があ
ったが、基本的な電話のモバイル化という方向性がぶれた訳でなかった事、しかし、
一番大きなことは自分たちの技術力とスタッフの力を信じて、突き進んだ経営陣の気
持ちの強さだと思います。


株道

「企業を見るポイント No.3 ~受取手形~後編」

当然、手形の割引には手数料がかかります。
ですので、手形の割引は、会計上、金利を払ってお金を借りたのと同じという見方を
します。

また、手形の裏書といって、現金の換わりに受け取った手形で支払いをするこ
ともあります。

ですので、B/S上で借入金が無くても、手形の割引や裏書をしていれば実質的に
は借り入れをしているのと同じとみなします。

また、会社としては手形の決済日を待たずに割り引く、若しくは裏書をしてい
るということは、資金繰りの面で変化があると考えるべきでしょう。
ただ、銀行との取引の付き合いで、どうしても割引させてくれということがあ
りますので、健全な会社でも多少の割引があることがあります。

昔から手形は、その性質上良くない使われ方もします。

その代表格が「融通手形」です。
資金繰りに行き詰った会社が、手形を切ってそれを買い取って貰うという手法
です。

手形は正式には「約束手形」といって商取引があったときの支払いの際に、代
金をいつ払うかを約束した書面なのです。

融通手形は商取引が無い状態で手形だけ発行し、その手形を額面金額よりも
い価格
で買い取ってもらうのです。

これを行った会社は、相当に資金繰りが行き詰まっている会社です。
上場会社でもこれに手を染めている会社があります。

また、反社会的勢力がこれを使って企業を罠にはめるのを見たこともありま
す。
これに関しては、別の機会でお話したいと思います。


株道

「企業を見るポイント No.3 ~受取手形~前編」


さて、企業を見るポイントも三回目ですが、今回引き続きB/S上でVCが注目する
ポイントを挙げてみます。
今回は「受取手形」

これは会計上、売掛金と同じく流動資産に属し、現金に近いものという考え方
です。
先ずこの受取手形が急に増えると、資金繰りの面で注意しなければなりませ
ん。
入金のサイトが長くなるからです。

また、何故受取手形が増えたかも注意しなければなりません。

取引先に大手の企業が新たに加わって、取引条件に手形が入っていたのか?
今まで現金取引だった先が手形に切り替えてくれといってきたのか?
当然取引先が支払いの条件を変更しろというときは、その取引先が資金繰りが
悪くなっていることですので、与信リスクが発生するわけです。

売掛金の管理と同じく注意が必要なのです。
そして、決算書の欄外に、手形割引の額が入っている場合は、手形の決済日を
待たずに、金融機関で手形を割り引いて貰ったと言うことです。
では、次回は手形の割引から。(続く・・・)


株道

「コモンウェルスエンターテインメント 後編 」

その後トップボーイは順調に業績を拡大し、異業種との複合展開で大型店を
増やしていきました。

この松藤社長の特徴は、タイミングを見るのが上手いというところです。
前述の中古マーケットからの撤退もそうです。

しかし、私がそれを一番感じたのは、上場後事業に陰りが見えたとき、すぐに
会社を売却してしまったところです。

売却先は、テクノベンチャーというベンチャーキャピタルです。
ここの社長は鮎川純太さんといって先日、女優の杉田かおるさんとご結婚され
たあの方です。
VC業界にいると知らない人はいないという人ですが、一般の方には杉田さんの
結婚相手としての方が有名ですね。

鮎川さんは、社長に深沢氏(前社長)に据え、会社も版権の二次利用権を使っ
たコンテンツビジネスに方向転換をし、モーニング娘。などのアイドルの公式
携帯サイトをスタートしました。

現在はトップボーイ時代の不良採算店舗の処理と新規事業の立ち上げという
苦しい時期で、業績も厳しい状況です。

さて、現時点でこのコモンウェルスエンターテイメントに関わってをした
のはいったい誰でしょうね?


株道