IPOベンチャー今昔物語 -4ページ目
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「セラーテムテクノロジー 後編」


セラーテムの株価は物凄いプレッシャーを経営陣に与えました。
そして、経営陣は超えてはならない一線を超えたのです。

上場で集めた資金をコンテンツ保有会社(以下コンテンツホルダー)に
出資し、その資金でセラーテムのサーバーを買わせたり、セラーテムの
経営陣が個人出資で設立した企業を通して、コンテンツホルダーに出資
してサーバー購入させたりしたという話を聞いています。

当然コンテンツホルダーをグループ化し、セラーテムの技術を利用させるという
大義名分もありました。

しかし、出資を受けたコンテンツホルダーも所詮ベンチャー、サーバー購入
資金を日頃の資金繰りに回すところもではじめます。

そうすると、セラーテムには売上は計上されますが、代金が未回収という状況
になります。
要は回収の目処のたたない売掛金の増加が起こります。


売上は伸びますが、所詮、作り物の売上。
あっと言う間に綻びも生じ始めます。

回収の見込みのない債権は当然どこかのタイミングで処理される必要があり
ます。
もちろん、セラーテムの経営が悪化したのはこれだけが理由では有りません。
しかし、一事が万事なのです。

また、同じことをやっている上場企業も数多くあります。

その後進藤社長の大量保有の変更報告の違反をしたり、それ以前株価の動きに
不信な動きあったり、大きな話題になりました。

現在は経営陣を総入れ替えして再建を目指しています。上場すると言うことは
永続的に成長を目指すことであります。
それを達成する為に道を踏み外した企業です。



株道

「セラーテムテクノロジー 前編」

この会社は独自の画像フォーマットを開発し、世界で認められた会社です。
どれだけ拡大しても、画質が落ちないという画期的な「VFZ」という
フォーマットで、なんと!ルーブル美術館のデジタルアーカイブに採用された
日本発のデファクトスタンダードの技術です。

私がこの会社の新藤(元)社長とお会いしたのは、まだ社名がデジタル
パブリッシングジャパンと言う社名の頃でした。
開発者の社長さんで、優しい感じの関西弁を使われる方でした。

上場した後、株価も恐ろしいほどの上昇をしました。
しかし、この株価にセラーテムは押しつぶされました。
株価は企業の将来性を先取りするものですが、それに見合った成長をするのは
生半可なことでは有りません。

幾ら凄い技術を持ったセラーテムだからといって、株価に見合った急成長は
簡単な物では有りませんでした・・・。(続く)


株道

「グローバルメディアオンライン(GMO)後編」

熊谷社長はぱっと見た目ハンサムで優しい人ですが、実は非常に
強かな方です。

それを裏付ける逸話があります。公開前のことですが、インターネット
プロバイダー事業を行っていたGMOは売上、利益の点でも、まだまだ株式公開
するレベルに到達できないでいました。
そこで、熊谷社長はダイヤルQ2を使ったプロバイダー事業に進出することを
決めました。

その頃ダイヤルQ2は、アダルト番組の配信や知らず使った人が多額の情報料を
請求されるなど、色々問題を抱えイメージが悪くなっていました。
ですから社員は皆大反対だったそうです。

しかし、熊谷社長は反対を押し切り、ダイヤルQ2を使ったプロバイダー事業に
進出をしました。
その結果、クレジットカードが使えない人等を中心に、サービスは大当たりし、
業績は急拡大しました。

ここからが、熊谷社長の凄いところで、この業績を利用して株式公開すると、
あっと言う間にこの事業の比率を下げてしまったのです。
この判断の早さ、強かな計算力が今のGMOを作ったのです。

私がお会いしたベンチャー企業の経営者の中でもとても優秀怖い方です。(笑)


株道

「グローバルメディアオンライン(GMO)前編」

GMOは現在東証二部に上場している「お名前ドットコム」という
ドメイン登録サービスや、レンタルサーバーで有名なインターネットインフラ
関連企業です。
今期連結の売上が2250億円に到達しようという企業ですが、上場時はダイヤル
Q2を使ったインターネットプロバイダー「インターキュー」というベンチャー
企業でした。

私がお会いした際のGMOの熊谷社長の印象は非常に腰が低く、丁寧な対応を
する方で、数字にも明るく頭の切れる方というものでした。
特に思い出されるのは、アポイントを頂いて伺うと、毎回、絶対に遅れてこら
れることです。
しかし、席につくなり何回もすいません、すいませんと頭を下げられて、
こちらも反対に恐縮して「大丈夫です、大丈夫です」という気持ちにさせられ
ます。
これが、熊谷社長の作戦で、相手を待たせておいて、自分の時間を無駄なく
有効に使いつつ、待たせた相手の機嫌も損なわないと言う作戦なのです。


株道

「どんな会社に投資するの?」

ベンチャーキャピタルはどんな会社に投資をするのでしょうか。

簡単に言うと将来性豊かで株式公開の可能性が高いベンチャー企業。
では、それってどうやって見分けるの?ってことですよね。

色々な観点があります。ビジネスモデルは優れているか、利益は出ているか、
資金繰りは問題ないか・・・。
しかし、本当は社長の資質が一番大きいファクターです。
どれだけ儲かっていても、経営者に問題があれば絶対に綻びが生じてきます。
もっと酷いときは、業績を粉飾して良い会社に見せているときもあります。

未公開の会社は公開会社と違って監査法人の監査も受けていませんから、
決算書も幾らでも嘘が書けます。

ですから、経営者の資質に負うところが大きいのです。

ベンチャーキャピタルは経営者の資質に単位のお金を張るのです。

次回からは色々なベンチャー企業と、その経営者についてお話したいと
思います。

株道

「ベンチャービジネスの知られざる一面を」

私はこのベンチャーキャピタルというビジネスにキャピタリストとして長く携わる
中で、多くのベンチャー企業に出会って来ました。

株式公開した企業、株式公開を今も目指している企業、倒産してしまった企業。

このブログでは、IPOしたベンチャー企業のあまり知られていない、未公開時の、
話や、経営者の横顔をお話することで、ベンチャーキャピタルとは何か、ベンチャー企業
とは何かをお伝え出来ればと思っておりますので、一つよろしくお願いします。

株道

「ベンチャーキャピタルは究極の博打ビジネス?」

はじめまして、ベンチャーキャピタルってご存知ですか?

ベンチャーキャピタルとは、有望なベンチャー企業に出資をして、
株式公開ができるように支援する仕事です。
未公開時に安い株価で出資をし、株式公開後に出資した株式を
売却して利益を得ます。
上手く株式公開できれば、投資金額の10倍とか100倍利益が得れます。

しかし、投資した企業が倒産したらまさにゼロに、また、倒産しなくても
株式公開やM&Aのようなバイアウトの機会がなければ、これも回収不能。
これに億単位のお金をかけるのです。

まさに、オール・オア・ナッシングの大博打なのです。

株道
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