「アルチザネットワークス」 | IPOベンチャー今昔物語

「アルチザネットワークス」

私がアルチザネットワークスの床次社長とお会いしたのはまだ、社名がエイブルコミ
ュニケーションズという社名でした。
本社は現在と同じく立川市にあり、PHSの通信プロトコルの検査をする会社でした。

ベンチャーキャピタルの中でも技術力、業績とも折り紙つきの評価の高い会社でし
た。
技術系の社長でしたが、しっかりした方でした。社長を取り巻く人材も地味ながらし
っかりした方達でした。
上場前の最終ファイナンスも高い株価で成功し、株式公開を目の前に順風満帆でした。

しかし、皆さんもご存知、PHS対携帯電話の戦いで軍配が携帯電話に上がりました。
アルチザネットワークスの業績はその影響を大きく受けました。株式公開も延期にな
りました。
どんな良い会社であっても、急激なマーケットの変化があったとき、かなりの影響を
受けるものです。
中には倒産に追い込まれ会社も多くあります。

特に通信業界では、今日、デファクトスタンダードだった技術が明日には別の技術に取
って代わられるということは良くある事です。
ベンチャー企業はそれこそ体力も無い訳ですから、ひとたまりも無く消えていった会
社もたくさんありました。

しかし、アルチザネットワークスは、IMT-2000に対応し、CDMAにおける通信プロトコ
ルの検査へ事業の主軸を変更し、見事に復活し、株式公開にこぎつけました。
その後、VoIPの通信テスト等も手がけています。

アルチザネットワークスが危機を乗り越えたのには幾つもの要因が考えられます。
資金調達が既に完了して財務体質が強固であったこと、マーケットに大きな変化があ
ったが、基本的な電話のモバイル化という方向性がぶれた訳でなかった事、しかし、
一番大きなことは自分たちの技術力とスタッフの力を信じて、突き進んだ経営陣の気
持ちの強さだと思います。


株道