IPOマーケットを取り巻く反社会勢力の罠 9 | IPOベンチャー今昔物語

IPOマーケットを取り巻く反社会勢力の罠 9

実はこの新株予約権付社債を株主割当で発行するのに大きな問題があります。


この新株予約権付社債は総額1億円近い額になるのですが、当然それを引き受けるお金は経営陣にはありません。
ですので、通常は一度VCが引き受けて、新株引受権と社債部分を分離し、新株引受権だけを経営陣に譲渡し、社債は引受後、早期償還させるというスキームが通例でした。


しかし、今回は株主割当なので、株主が引受けなければいけません。
ということで、事前に社債の売買契約を結んでおき、払込と同日でVCへ社債部分を売却するということを、同じ銀行内で行ってしまうという作業をしました。

同行内での同日取引をすることで、一度引受けたものをすぐにVCに売却したという風に見せる裏技を使ったわけです。


当然、銀行の協力がなくては出来ません。
支店長室を借りて、すべての資金移動を行ってしまうのです。



今となってはかなり反則技のように思いますが、無事ファイナンスは終わりました。
こうして、私たちは100株の新株を1株11万円で取得し、経営陣は6:3:1の比率になるように、行使価格50,000円の新株引受権を手に入れたのです。

株主になったあとも、会社は順調に成長していきました。


(続く)