IPOマーケットを取り巻く反社会勢力の罠 8 | IPOベンチャー今昔物語

IPOマーケットを取り巻く反社会勢力の罠 8

今回からは本筋に戻りましょう。


資本政策の策定において幾つかの条件を出されました。

①資金調達は僅かで良いが、同時に経営陣の持ち株数を大幅に上げたい。

②経営陣に手持ちの資金がない

③このタイミングで、社長、専務、取締役の3人の持株比率を現在の8:1:1から6:3:1になるようにしたい。


先方のニーズはこれだけでした。

しかし、これが大変!

先ず、株価算定を行いました。

利益が出ていることと、資産もそこそこあったので「類似業種比準価額方式」を使いました。

同業種の上場会社の株価からスケールダウンして算定する方法です。


株価は50,000円額面で17万円。(当時はまだ額面制でした。)

この株価で③の比率になるように新株を発行するというのが通常であるが、それでは資金がかかりすぎて現在の役員の手持ち資金では引き受けきれない。


そこで考えたのが、新株引受権付社債(今で言う新株予約件付社債)。

まだ、ストックオプションも制度化されていない時代でした。

これにより、新株を引受ける権利だけを役員に付与しようとしました。

しかし、やはり問題は株価です。


そこで考えたのが裏技で、新株引受権付社債を株主割当で発行するという奇策でした。

株主割当とは、既存の株主比率に合わせて新株を割り当てること。

これにより、額面(50,000円)での発行が可能になります。


これを新株引受権付社債で行おうと言う事です。

でも、3人の比率が6:3:1にならない。

ここで、事前に株の譲渡を行ってもらい、先のその比率にする。


その上で、新株引受権付社債を発行。

しかも同時に11万円で第三者割当も慣行。(株主割当と第三者なので二つの株価が付いてもOKでした。)


という無茶を行いました。


(続く)