IPOマーケットを取り巻く反社会勢力の罠 4 | IPOベンチャー今昔物語

IPOマーケットを取り巻く反社会勢力の罠 4

私は手に入れた三期分の税務申告書一式を基に財務分析を行います。

これには二つの目的があります。ひとつは前述の同業種の財務分析比較シートを作成するためです。

もうひとつは、メディカルイクィップメント社の財務内容をチェックして、投資対象となり得るかどうかを判定するためです。

先ず、前者のほうでは資本力の弱さから、過小資本の傾向がきっちりと出ます。

過小資本がビジネスのボトルネックになっている点とか、総資産回転率がかなり高かく、今投資すると投資効果が事業によく反映されるという資料に仕上げました。

後者の方ではもちろん粉飾も無く問題ありませんでした。



この資料がきっかけで、メディカルイクィップメント社との距離が一気に近づきました。

向こうとすれば決算書一式渡したことで、気が楽になったんでしょう。

やはり株式公開を目指すことも必要だと言う流れになってきました。

そんなある日、柏原役員から呼出がありました。

内容は銀行から出資の話が来ているので、もう結構だと言う内容でした。

私はショックを受けつつも島村社長に直接連絡をしました。

彼の返事は、柏原役員に内容を確認した上で改めて連絡すると言うことでした。