IPOマーケットを取り巻く反社会勢力の罠 3 | IPOベンチャー今昔物語

IPOマーケットを取り巻く反社会勢力の罠 3

ベンチャーキャピタルの仕事は忍耐の要る仕事です。

有望先へ投資をするまでに時間がかかり、投資先企業が株式公開するまでにまた時間がかかり・・・。


私は月に1回程度の頻度でメディカルイクィップメント社へ顔を出しました。


何回目かの訪問の際に、ある資料を持って行き提案をしました。

その資料はメディカルイクィップメント社と同業の上場企業数社の財務分析を行い、並べて比較できるシートでした。

上場企業の財務諸表は簡単に手に入ります。

それぞれの企業の体質が如実に現れているシートを見て、島村社長は感心していました。


数字は嘘をつきません(粉飾していなければ)、島村社長が何となくこの会社はこういう会社だなと思っていることが、見事に数字に表れていました。


シートの最後はメディカルイクィップメント社の名前だけが入っており、後は空欄。

「三期分の納税申告所一式下さい。御社の分析もしてきます。」

「うん分かった、すぐ用意させよう。」と言って島村社長は内線電話をかけました。


資料を持ってきたのは財務担当の取締役の柏原役員であった。

柏原役員はこちらを訝しそうに見ながら社長に資料を渡しました。


島村社長は柏原役員に私を紹介して、三期分の書類を私に預けてくれました。

柏原役員は税理士の資格をもっており、税理士としての仕事も兼務しているとのことでした。


私は柏原役員に対し第一印象で少し嫌な感じを持ったことを今でも覚えています。