IPOマーケットを取り巻く反社会勢力の罠 2 | IPOベンチャー今昔物語

IPOマーケットを取り巻く反社会勢力の罠 2

日を跨いで、何度か同じようなやり取りの後、島村社長に電話が取り次がれました。

私は自分がベンチャーキャピタリストで、将来株式公開が狙えるベンチャー企業を探していること、それがまさに今見つかり、貴社であり、一度社長と会って話がしたいと伝えました。


島村社長の第一声は株式公開はあまり考えてない、会っても無駄になると言うようなものでした。

私はこの機を逃してなるものかと、食い下がり2日後の午前にアポイントをもらうことに成功しました。



アポイントの当日、JR稲毛駅からバスで10分くらいの停留所に降り立った私は、地図を片手に周りを見渡しました。


会社はすぐに見つかりました。1階が駐車場兼倉庫になったビルで、受付は2階にありました。

受付では先日の電話ではなした人だと思われる若い女性社員が立ち上がって迎えてくれました。

島村社長にアポイントがある旨伝えると、隣の建物へ案内されました。

部屋には机が三つと応接セットが一揃い。一番奥の机に島村社長だけが座っていましたが、私を見ると立ち上がって、「遠かったでしょう?」と名刺入れを出しながら笑いかけました。



ソファーに腰掛け、私は自社の紹介、昨今の株式公開状況、株式公開のメリット、デメリット等をここぞとばかりにしゃべりまくりました。

島村社長は真剣にその話を聞いたあと、メディカルイクィップメント社の事業内容について語ってくれました。


人工透析器の商社で、海外の医療機器のメーカーや、国内大手メーカーから仕入れて、病院に販売をしており、医師への最新機器のコンサルや、手術の立会いなど、単なる販売で終わらない付加価値を売りにしていました。また、3期連続増収増益であること、今期も順調に伸びていることを聞かされました。


島村社長は自分の事業は全て社員が頑張ってくれているからだと強調していました。

今でも私はそのときの誇らしげな顔が忘れられません。

私にとっての島村社長の第一印象は非常に良い物でした。


「取り敢えず、今は株式公開は考えてないけど、定期的に話し聞かせてよ。」

その日はそんな言葉で終わりました。